
先日NHKで脳出血を起こした脳科学者のドキュメンタリーを見ました。心に興味のある方なら、右脳、左脳の違いについても、「右脳は感性、左脳は理論」といったような認識をお持ちだと思います。この女性はある日、左側頭部の脳で出血が起こり、危ないところで命を取り留めました。しかし、身体機能には後遺症が残り、記憶もなくしました。手術後、目を覚ましたとき、自分の母さえ誰だかわからない、自分が何者なのかわからない状態になっていました。
ふつう、そんな状況に陥ったら誰もが恐怖感、不安感を覚え、パニックになるところですが、この女性はとてつもない幸福感を味わっていました。
「わたしは生きている!」ただ生きているそのことだけでいままでにない幸福感を感じ、仏教で言うなら、涅槃(ニルヴァーナ)の境地にあったと述べていました。
また、自分と周りの境界線も感じられなくなっていました。自分の存在そのものが喜びであり、「私」=自分という肉体に閉じ込められた存在ではなく、すべての一部となっている自分を感じたとのことです。
この科学者は何年もかかって、記憶を取り戻し、マヒを克服しました。今では自分と周りとの境界は感じられるようになりましたが、彼女の感性は脳出血を起こす前と違い、とても敏感になりました。
自然の中を散歩しているとき、風に吹かれてかさこそという葉の音に感動し、本当の自分に戻れていることを実感し、幸福を感じるそうです。また、昔から続けていたステンドグラスの作品は前と比べてぐんと芸術的で、カラフルになりました。
ところで、香りは理屈ではなく、感覚ですから、右の脳を活発にします。私が昔ネパールですばらしい香りの花をかいだときに感じた理屈抜きの幸せな気持ち、もしかすると、これを何十倍にも増幅したら、彼女が味わった涅槃の境地に達することが出来るかもしれませんし、同時に思うことは、私たちは皆、生まれたてのときはその状態で生まれてきているのではないかということです。







